2007年10月26日
80年前の新聞や黒電話、土壁家屋の改修工事
改修工事がはじまったここT邸。
建物は築150年ほどというお話で、土壁づくりの外壁がその歳月を物語っています。
思っていたよりもすこし早く取り壊し作業が始まっていたため、以前の
お風呂場の様子を逃してしまいました...
それでも、壁にわずかに残るタイルや水栓金具から、以前のたたずまいを
垣間見ることができます。
内壁のベンガラにも似た色が、なにげに斬新できれいで、個人的にはなんとなく
壊されてしまうのがもったいない気も。
解体作業中でしたが、ちょっとお邪魔して2階へ上がらせてもらいました。
これは2階の奥の部屋の様子です。
木戸をあけて光を入れても、明るさはこの程度。
見えている桁の曲がり具合からみても、かなり年月を経たもののよう...
部屋の中には、木桶やちょうちん、昔の建具や天秤など数々の興味深い品が。
いわゆる古民家は、マイナーチェンジを重ねながら今に至るケースが多く見られます。
たとえば壁紙がわりの新聞紙。
古民家に行くと、必ずといってよいほど、壁紙や襖の補修などに古新聞が使われて
いるのを目にしますが、こちらのお宅にもありました。
この新聞は、写真にもあるように「中外商業新報」。
調べてみたところ、これは日本経済新聞の前身の新聞らしいです。
しかも年月日は"日四月三年三和昭"...80年前?
横書き文字が、右から左へ読ませる方式なのもうなずけます...
フランスの自動車メーカー、シトロエンの広告もレトロ感たっぷり。
「全鋼製」(すべて鉄でできている)、「四輪制動」(四輪ブレーキ)、「十馬力型」
などのうたい文句の日本語が、時代を感じさせます。
T邸のまわりでも、興味深いものがいろいろと目につきました。
この建物は、かつての「ヤギ小屋」。
なつかしさを感じる黒電話と、醤油の貯蔵に使っていた醤油徳利。
そして手作りのソリ。
座ったときおしりが痛くないように、稲藁製の座布団までついています...
捨てられてしまうのはなんだか忍びないけれど、かといって使い道も思い
浮かばず。
「ここにくると、タイムスリップしていきなり昔に迷い込んだような気持ちに
なるんだよね...」と営業のカスガさん。たしかに。
かつて在った生活がリアルに透けてみえるような道具が、まだまだたくさん
眠っているようです。
これからT邸では、建物自体はそのままに、ユニットバスとガラス窓の設置工事が行われます

Posted by カマクラさん at 10:06│Comments(0)
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